ユニ・チャームの組織と社風

■オーナー企業のスピード

オーナー企業であるため、決断実行が早く、貫徹の執念で成功するまで粘り続ける企業文化がある。スピードが早すぎて、やや強引に進めなければならない時がある程で、成長意欲・向上心の高い人材には適した環境。社内の意思統一、ベクトルを合わせて前に突き進む組織力は非常に高く、またそれが社外(取引先や他メーカー)から評価されている。その一方で、社員全員の誕生日に社長から直接お祝いメールが届くなど、オーナーは社員を大切にしてくれていると感じる面もある。内容も画一的なものではなく、個々人の業務なども理解した内容となっており、労を労ってくれたり、家族の心配などをしてくれる。

■トップダウン組織

徹底的なトップダウン企業なので、会長・社長=神様みたいな傾向があり、社員全員入社すると会社のバイブルのようなものを渡されて、その内容を覚えさせられる。一方で1年目や2年目の社員が社長や副社長、専務など会社トップとの懇親会や意見を交わす機会が多く、風通しは良い。本人次第ではあるが、意見や思ったことは全社に発信できる環境。また、社員同士が仲が良く不満を言いながらもなんとか全員一緒に成果を出して行こうという雰囲気はあり、現場の結束は比較的固い会社。

■ライフイズワーク

高原豪久社長が常々、「ライフ イズ ワーク」と社内外に発信しているように、仕事第一であることが求められる。勤勉さや真面目な事が重視され、休日や夜遅くまで働く人が高く評価される。業務時間ではとても裁ききれない業務量が振られるが、それを乗り越えられる人が次のステップに進める。若い頃から能力が有ると認められると重責ある仕事や、難しい担当を割り当てられるため、成長するチャンスは大きいが、原則年功序列のため、給料には大した差が出ない。


■風通しの良い環境

風土としては、努力した社員にはその分だけ正当に評価され、また、新しい提案をした際にはそれを受け入れてくれる文化がある。会社の方針を理解した上で自ら率先して提案すると、周りもアドバイスや相談にのってくれたり、人脈を使うなど、とにかく協力してくれる風通しの良い環境。大前提にあるのは、個人プレーではなく組織で動くことの重要性であり、全社の方針や戦略を理解した上で高いパフォーマンスを上げる社員は評価される。積極的に企画提案等をしたい人にはぴったりの企業。

■チーム制

3人から5人程度でチームを創りチームリーダーを中心にした組織活動による業績成果が評価に繋がる。チームごとに毎週ミーティングを実施して翌週の行動計画と達成目標を設定。これを全社の各階層で行っている。日々のコミュニケーション量もかなり多く、チームリーダーから矢継ぎ早に飛んでくる指示や要請にはスピーディな対応が求められるが、同僚や後輩達との横コミを取りながら必死にこなしていく中でチームメンバー間の結束は強い。


■体育会系

上下関係がはっきりした完全なる体育会系企業。夜遅くまで残って業務を行うことが良しとされる風潮があり、非常に仕事はタフ。社内向けの定型資料が多く、定型資料に沿ってコミュニケーションをとっていくが、非常に内容が豊富で、時間もかかる。社内での立ち回りがうまくできないと仕事もうまくいかない。ベンチャー企業のハードワークと大企業的なコミュニケーションの必要性が混在している。「出る杭は活かす」という方針はあるものの、実際に活用されているケースは稀で、若手社員が伸び伸びと仕事したり、自由闊達に活躍している印象は薄い。また、皆で社歌や社是を唱和したり、休日に強制参加の運動会や祭りがある典型的な日本企業であり、企業の色に染まらない社員への風当たりが非常に強い。


■社員を守る会社

社員を良い意味でも悪い意味でも守ろうとするので、頑張って遅くまで残ってでも仕事をやり遂げる人、責任感もって対応する人、とりあえず言われたことだけやる人、それすらもちゃんとやらない人等、どんな仕事をしている社員も年次が同じであれば給料の差は少なく、新卒入社では5年目で1段階、9年目で2段階目の昇格・昇給で全員一律で上がる。その後はマネージャー職に上がらない限り、ボーナスがほぼ一律少しずつ上がるだけで、努力することを否定されているような風土がある。また、どんなにサボっていても仕事しなくても降格、リストラなどは無く、終身雇用の社員に優しい会社と言える。

■中途採用者

中途採用者は、月曜の朝礼前に毎朝社員全員でラジオ体操、社歌を歌い・社是を読み上げる、といった慣習になじめず、1週間ほどで来なくなるような社員もいる。社内オリジナルの語録が浸透しているため、会議での打ち合わせや通常会話においては、言葉の解釈や使い方に慣れる(理解する)までに時間が掛かるだろう。