副業、消費財企業も解禁、ユニ・チャーム、今月から、専門知識やノウハウ獲得、介護などで新事業創出(2018/04/03)

 ユニ・チャームは4月から社員の副業を解禁した。介護やデジタルマーケティングなど本業に隣接した分野を推奨し、ノウハウ獲得を通じた事業領域の拡大を目指す。副業は電機やIT(情報技術)などで専門性を活用する事例が多かったが、消費財企業の新事業開拓にも目的が広がってきた。人材流動性の向上を目指す政府の後押しもあり、幅広い業種で導入が進みそうだ。

 ユニ・チャームは入社4年以上の正社員を対象とする。約1500人が有資格者となるもよう。副業が認められるのは就業時間外や休日のみ。副収入を得るためのアルバイトなどでは認められず個人のスキルアップにつながる副業に限定する。商品開発やマーケティング、販売など幅広い業種からの応募を見込む。

 副業解禁を通じて大人用紙おむつと事業内容が近い介護分野の新サービスや、ネット通販拡大に向けたデジタルマーケティングの新手法開拓を目指す。人工知能(AI)や仮想現実(VR)など先端技術の応用も狙う。

 ユニ・チャームは紙おむつや生理用品など日用品の製造・販売が主力事業。社内には新事業に関連する専門知識を持った人材が乏しい。高齢者介護やITなどの関連事業を兼務させてノウハウを取り込み、本業でのイノベーション(技術革新)創出や外部企業との提携につなげたい考えだ。

 終身雇用が一般的な日本企業は社員の兼業や副業を制限してきたが、近年は変化が起きている。ソフトバンクは2017年11月に副業を解禁した。プログラミングなど専門技術を生かす形で活用が進む。新生銀行は18年4月から容認。英語の得意な人が翻訳業務に携わることなどを想定する。

 日本経済新聞社が3月にまとめた「社長100人アンケート」では副業を認めているとの回答が3割強、検討中も含めると4割強に上った。副業を認める目的の多様化が積極姿勢の一因になっているようだ。

 政府は人材の流動化に向け、17年3月の「働き方改革実行計画」で副業や兼業の普及を進めるとした。これを受けて厚生労働省はモデル就業規則にあった「許可なく他の会社の業務に従事しないこと」の規定を削除。副業容認に方針を変えた。企業間の人材移動や連携を促し、新産業の創出につなげる狙いがある。

 ユニ・チャームはVRなど先端技術を活用した新事業の開発を目指している。