2018/05/11 ユニ・チャーム―紙おむつ、中国で販売拡大、連日の年初来高値に

 ユニ・チャームの株価が堅調だ。10日の東京株式市場では一時、前日比61円(2%)高の3224円まで上昇し、連日で年初来高値を更新した。9日発表した2018年1~3月期の連結決算(国際会計基準)が市場予想を上回ったためだ。機関投資家を中心に商いを伴って買われ、10日もこの流れを引き継いだ。

 1~3月期の純利益は前年同期比22%増の141億円と、同期間としては過去最高だった。市場の注目を集めたのがアジア地域の好業績だ。売上総利益から販売費・一般管理費を引いた「コア営業利益」の増加額59億円のうち、アジアで51億円を稼ぎ出した。

 前年同期にタイで物流トラブルによる機会損失があったとはいえ、中国やインドネシアで子ども用紙おむつ、生理用品の販売が上向いている点が前向きに評価された。みずほ証券の佐藤和佳子シニアアナリストは「アジア事業の底打ちを確認できた」と指摘する。

 中国の子ども用おむつ市場では消費者の品質志向が高まり、日本製に人気が集まる。ユニ・チャームは現地製から日本製へと力点を移すのが競合に比べ遅れていたが、1~3月期は越境EC(電子商取引)経由でのおむつ販売が2.6倍と急拡大した。

 予想PER(株価収益率)は約32倍と、花王(約25倍)などと比べて割高感も指摘される。今後の懸念材料は不織布の原材料であるナフサの高騰だ。原材料高による通期の減益要因は、期初想定に比べて30億円ほど膨らむ可能性がある。市場では「中東情勢の悪化で原油高・ナフサ高が進めば、株価の上値が重くなりそうだ」との声もあった。