消費体験で商品購入促す
ユニ・チャームはペット用品売り場での情報発信を強化する。ホームセンター(HC)などのペット用品売り場に、商品情報だけでなく、季節の話題と商品の関連情報をセットにした店頭販促(POP)を設置。実証実験した店舗はペット用品の売り上げが拡大している。今後はドラッグストアや食品スーパーにも広げる。ネット通販が増える中、店頭では消費体験を充実させる。
一連の取り組みを「ペットニュース」と銘打って、POPや陳列方法などを工夫した。売り場での情報発信をテレビ番組に見立て、直接商品とは関係がないようなグルメや健康、ファッション情報まで、紙でできたPOPを使い配信する。
情報は季節にあわせて年に4回程度更新。店舗ごとに内容は切り替え、消費者が飽きないようにする。情報は、例えば「猫がなでられると喜ぶツボ」など、商品とは関連がないようにみえるが、結果としておやつ購入の後押しになっているという。
従来の店頭はブランド名や商品のうたい文句や、効能の説明をするPOPが多かった。ただそれだけでは消費者の心に残らないと判断。ペットニュースに変えることで、消費者に売り場の情報に興味をもってもらうとともに、押し売り感を低減するねらいがある。
ニュース作りはユニ・チャームが率先するが、店舗従業員やバイヤーなどと共同でアイデアを出し合い作っている。ニュースを中心にペットフードやペット用ブラシなどカテゴリーを横断して陳列する。ニュースに関連する商品ではあれば、競合メーカーの商品も一緒に置く。
情報発信強化を本格的に乗り出すのは実証実験で効果が認められたからだ。HCと連携して、10月から実験を開始。島忠の横浜市内の店舗では、猫用フード売り場に猫がなでられると喜ぶツボを説明するPOPを用意した。横に比較的価格の高い猫用おやつや、他社商品の猫用のおもちゃを陳列した。消費者からは「長く店に通っているが、おもちゃを売っていると知らなかった」との声が寄せられたという。
実験では棚を通過した顧客の8割が5秒以上立ち止まった。ユニ・チャーム商品の売り上げは従来の2倍に伸び、他社製品を含めたペット用品全体でも10%増えた。
ペットフード協会によると犬猫の総頭数は2017年で約2万頭で、減少傾向にある。ペット用品の売り上げを上げるには使用率や付加価値の高い商品を手にとってもらう必要がある。
ペット用品はネット通販での購買が増えている。ユニ・チャームはリアルの売り場での情報発信を強化することで、消費者の潜在需要を刺激し、購入を促す考えだ。